アルコール綿が手に入らない
現在、アルコール綿(酒精綿)がなかなか手に入らない状況となっています!!
糖尿病でインスリン自己注射(GLP1受容体作動薬)をしている方は、注射時や自己血糖測定する際、平時ではアルコール綿(酒精綿)で消毒してから行うようにと指導されている方が多い中、手に入らず戸惑っている声をよく聞きます。
アルコール綿(酒精綿)が手に入らない場合
その場合は、アルコール綿での消毒を省略してそのまま打つ、もしくはそれでも心配であればウェットティッシュでさっと拭いてから打ってもらって構いません。
その理由としては、アメリカでの20年以上前の臨床研究の結果にて消毒をせずともあまり安全性は問題なかったという結論になり、それ以降、諸外国では皮下注射前のアルコール綿での消毒は強くは推奨されておらず、そのため自己注射時に消毒はあまりされていないという事実があります。
また1型糖尿病の方ならご存知の方が多い、もしくは実際しているよ!!という方も多いですが、薄い服であればその服の上からインスリンの自己注射をすることもあまり問題なく、それによりトラブルが起きた方はほとんどいないという事実があります。
どうしてそうなのでしょうか?
それはまず現在のインスリンやGLP1受容体作動薬の針は非常に細く(写真参照)、注射針の穿刺(せんし)で生じた微かな穴から極めて微量の皮膚常在菌が体内に入ったところで、免疫システムが機能して直ちに排除され、感染を引き起こすことはないと考えられているからです。(糖尿病の方は健常人に比べて免疫が少し落ちていたとしても)また、その理由として皮膚のPHと体内のPHが違っていることが指摘されています。
もう少し詳しく言うと、皮膚上の常在菌は皮脂を栄養源としており、代謝産物として何種類かの酸性物質を生成します。そのため、皮膚面は弱酸性状態(pH5・5)となっています。その弱酸性状態であるから常在菌は生育しているのです。
で、もし誤って体内に入りこんだ場合どうなるかというと、体の中の環境は弱アルカリ性(pH7・4)であるため、皮膚常在菌はPHの違いにより、そこで生育することは難しく遅かれ早かれ死滅することになるのです。
あとは上記のように、体内の免疫細胞による免疫システムにより、直ちに排除され、生存を続けるのはまず不可能であるとも言われています。
アメリカンスタイル
血糖自己測定時の、穿刺前のアルコール綿(酒精綿)での消毒も手洗いをすれば消毒は不要です。
その理由としては、アメリカでの20年以上前の臨床研究の結果にて消毒をせずともあまり安全性は問題なかったという結論になり、それ以降、諸外国では皮下注射前のアルコール綿での消毒は強くは推奨されておらず、そのため自己注射時に消毒はあまりされていないという事実があります。
実際、現在アルコール綿(酒精綿)が手に入りづらくなっている現状においては、私はインスリンやGLP1受容体作動薬、またフォルテオのようなテリパラチド(遺伝子組換え)注射剤を使用している患者さんには アルコール綿(酒精綿)がない際は、アメリカンスタイルでやってください→アルコール綿(酒精綿)での消毒は省略してという意味 と言っております。(すみません、私が勝手に命名しただけです)
注意
針と注射器は自分1人の専用とし、決して患者間で共有してはいけません。(肝炎などのウイルス感染が起こる可能性があるからです!!)これは絶対やめましょう!