そもそもどうして糖尿病は良くしないといけないのですか?


掲載日: 2015-04-02

 そもそもどうして糖尿病は良くしないといけないのでしょうか? と、まず初めに患者さんに私は聞くことにしています。

 ちなみに皆さんならどう答えますか? 糖尿病は体に良くないから、おしっこに糖が出るから、糖尿病で来られる方の大半は特に何のつらいこともないのになぜ? という方ばかりです これが、がんなら、良くしてもっと生きたいとか、腰痛なら痛みをなくしたいとか、風邪なら喉の痛み、熱、咳をなくしたいなど、皆さん良くする目的がわかりやすく、良くしたいという意識が強いのですが  糖尿病は自らの症状がもともとないことが多く、良いか悪いかも血液検査の数値に頼らざるえないため、良くする目的や意識が弱くなりがちです。ですので初めの問いに答えることは難しいのです。

 私は、まず患者さんに『つつがなく(※)人生を楽しんでいくためですよ。』と話します。これには二つの意味があります。一つは合併症を減らすことで、つつがなく暮らすという意味。糖尿病そのもの自体で命を落とす人は少ないのです。ではどうして糖尿病が良くないかというと、糖尿病で心筋梗塞や狭心症になったり、脳梗塞になったり、失明の危険が上がったり、腎臓が悪くなったり、足がしびれたり痛んだりします。これらをいわゆる合併症と言います。実は糖尿病は、全身の血管をボロボロにする病気なのです。

 人間の体は髪の毛など一部の組織以外すべて血管で養われています。例えば水道管が穴だらけだったら、洗濯、お風呂、料理もできなくなり不自由になります。(災害時を思いだしてください)ヒトの体でそれに相当する血管がボロボロなれば、様々なことが起きてしまうのです。最近では認知症、がん、うつ病、骨折、歯周病にもなりやすいことがわかってきました。 どれも命を落とすかもしくは、良い日常が過ごせなくなくなるような病気を引き起こす糖尿病は悪の権化、仮面ライダーで言えばショッカー、バットマンで言えばジョーカーのようなものだからです。ボスを倒さなければ、平和がやってこないように、糖尿病をコントロールしないと、そのために起きる病気(合併症)だけに立ち向かっても限界があります。

 もう一つは糖尿病改善自体を目的にしない、あくまで楽しく人生を歩んでいくことが目的で、糖尿病を良くするのはその手段であるということ。糖尿病は良くなったが、その代わりに楽しい食事、友人との会食、趣味をあきらめるでは人生はハッピーになりません。目的と手段が反対では本末転倒です。

 そんな糖尿病ですが、付き合っていく理由がわかれば、孫子の兵法の『敵を知り、己を知らば、百戦危うからずです』。次のステップは『良くしなけらばならないことはわかったけど、でもそのためには食べたいものを我慢して、我慢してつらいことばかりではないの?』という問いに対して、できるだけ楽しく付き合っていくことを考えましょう

 それについてはまた次回をお楽しみに!

※「つつが」は病気や災難を意味する「恙(つつが)」で、漢字は「恙無い」「恙無く」と書く。

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