糖尿病腎症とは?
糖尿病性腎症とは、糖尿病が原因で起こる腎臓の病気です。糖尿病では、血糖(血液中の糖)のレベルが高くなることが多いです。この高血糖が長期間続くと、腎臓にダメージを与え、その機能が徐々に低下していきます。
腎臓は体の中でフィルターの役割を果たしており、血液から余分な水分や老廃物を取り除き、尿として体外に排出します。糖尿病性腎症が進行すると、このフィルター機能が損なわれ、必要な物質まで尿に排出されてしまったり、逆に不要な物質が体内に留まったりするようになります。
症状
初期段階では症状が現れにくいのが特徴ですが、進行すると以下のような症状が出ることがあります。
尿にたんぱく質が混じる: 腎臓のフィルター機能が低下し、通常は尿に出ないはずのたんぱく質が漏れ出ることがあります。
浮腫(むくみ): 腎臓が余分な水分をうまく排出できなくなると、体や顔にむくみが生じることがあります。
疲労感: 体内の老廃物がうまく排出されないことで、疲れやすくなることがあります。
糖尿病性腎症の予防や進行の遅延には、血糖値を適切に管理することが重要です。これには、健康的な食事、定期的な運動、糖尿病の薬の適切な使用などが含まれます。また、高血圧も腎症のリスクを高めるため、血圧の管理も重要です。
定期的な医療検査により、糖尿病性腎症の早期発見と管理が可能です。そのため、糖尿病を持つ方は、医師の指示に従い、定期的に健康診断を受けることが推奨されます。
糖尿病性腎症治療
最新のエビデンスに基づく現在の糖尿病性腎症治療とは?(2023年現在)
糖尿病性腎症の治療の基本は、血糖値・血圧・脂質の管理、減塩とタンパク質制限を基本とする食事療法、レニン・アンジオテンシン系阻害薬の使用がありますが、近年の研究により、SGLT2阻害薬やGLP-1受容体作動薬、非ステロイド型MRAなどの薬剤が、糖尿病性腎症の進行を抑制する効果があることが明らかとなりました。
これらの薬剤は、それぞれ異なる作用機序で腎臓を保護し、腎機能の低下を遅らせることが示されています。SGLT2阻害薬は、尿中に糖を排泄することで、腎臓への負担を軽減します。GLP-1受容体作動薬は、血糖値を下げるだけでなく、体重減少や血圧低下、血管の保護など、腎臓に有益な作用を示すことが知られています。非ステロイド型MRAは、腎臓の血管を拡張し、血流を改善することで、腎臓の機能を維持します。
これらの薬剤は、糖尿病性腎症の進行を抑制する効果があることから、早期から積極的に使用することが推奨されています。また、食事療法や運動療法などの生活習慣の改善も、糖尿病性腎症の治療に欠かせません。
まとめ
以下に、最新の糖尿病性腎症治療の概要をまとめます。
- * 血糖値・血圧・脂質の管理
- * 減塩とタンパク質制限を基本とする食事療法
- * レニン・アンジオテンシン系阻害薬の使用(イルベサルタン カンデサルタンなど)
- * SGLT2阻害薬の使用(ジャディアンスなど)
- * GLP-1受容体作動薬の使用(リベルサス、オゼンピック、マンジャロなど)
- * 非ステロイド型MRAの使用(ケレンディア)
糖尿病性腎症は、早期発見・早期治療が重要です。糖尿病患者は、定期的に検診を受け、腎機能の状態を把握しておくことが大切です。