GLP1受容体作動薬
GLP1受容体作動薬は注射製剤であり一見インスリン製剤と似ていますが全く違うものです。ヒトグルカゴン様ペプチド-1(GLP1)は血糖依存性(血糖が高くなったときだけ作動する)で、もともとヒトが持っているものです。
その働きはインスリン分泌促進、食欲抑制、食物の胃からの排出遅延、など他にも多岐に及びます。しかし生体内ではすぐに分解されてしまうため、開発された薬剤は分解されにくいGLP-1受容体作動薬の注射剤です。上手く使うと、とても頼りになる糖尿病の治療薬です。
毎日打ち Daily
商品名:ビクトーザ皮下注18mg、バイエッタ皮下注5μg ペン300、バイエッタ皮下注10μg ペン300、リキスミア皮下注300μg
週一回打ち Weekly
商品名:ビデュリオン皮下注用 2mgペン、トルリシティ皮下注0.75mg アテオス、オゼンピック皮下注 0.25mgSD 0.5mgSD 1.0mgSD
実はそれぞれ特徴があり、当院でもそれぞれその人に合わせて使い分けをします。GLP1製剤はうまく使うと、インスリンを打っている方であれば、そのインスリンの単位を減量することや、インスリンの一日の回数を減らせたりします。
また、食行動が改善することで体重の減量を計れる可能性もあり、とても興味深い薬剤です。ただその使い方にはそれなりの経験がある医師でないと上手くいかないことも往々にしてあるので、できればGLP1製剤の使用経験の豊富な医師のもとでGLP1製剤を使用することをお勧めします。
経口GLP1受容体作動薬
商品名:リベルサス3mg 7mg 14mg
始めての経口製剤(飲み薬)です。前述ででてきたオゼンピックという注射製剤の薬物であるセマグリチドにサルカプロザートナトリウム(SNAC)吸収促進剤を添加することで胃での吸収を可能にしました。ただしオゼンピックは週1回製剤ですが、リベルサスは毎日内服の薬です
なお、この薬の飲み方は、上記の技術による胃での吸収を十分にするために、他の糖尿病の内服薬と違い気を付けるポイントが大きく3つあります。
1つ目は 内服前は少なくとも6時間は空腹としなければならない
2つ目は 内服時は120ml以下の水で内服しなければならない
3つ目は 内服後も少なくとも30分は飲食やほかの薬の内服は避けなければならない
これができないとこの薬の作用が弱くなってうまく効きません。また 湿気や日光に非常に弱いので薬の保管保存にも注意が必要です。ただ上記の飲み方をきちんと守れれば、GLP1受容体作動薬の恩恵を注射でなく内服で受けることができます。
ミックス製剤
商品名:ゾルトファイ配合注フレックスタッチ《ビクトーザ(GLP1製剤)とトレシーバ(インスリン)》、ソリクア配合注ソロスター《リキスミア(GLP1製剤)+ランタス(インスリン)》
インスリン+GLP1製剤のミックス製剤も登場しております。現在利用できるのは2種類です。もともとGLP1製剤とインスリンを両方使用していた方にとっては注射を打つ回数を2回から1回にでき、また薬の値段も、GLP1製剤、インスリン製剤を別々に買うよりGLP1+インスリン製剤の合剤のほうが安くなるという利点があります。
インスリンの回数を減らす、単位を減らす
現在、インスリンだけでなく、GLP1製剤という薬剤を使用したり、内服と併用することで、一日に打つ回数を減らしたり、単位を減らすことも可能な場合もあります。