掲載日: 2020-06-09
マスクをする女性

熱中症に注意しましょう!

 熱中症の増加する季節がやってきます。今年は新型コロナウイルス対策もあり、マスク着用が勧められていますが、しかしこれから来る高温多湿の季節でのマスク着用には、注意が必要となります。

体温上昇や脱水症状

 もともと高齢者、糖尿病など慢性疾患のある人は熱中症にかかりやすいです。特に 糖尿病の人は、高血糖の状態が続くと神経障害や皮膚の血流障害が起こりやすく、熱中症の症状に気付きにくくなっている場合があるので注意が必要です。今夏はそれにさらに例年と異なりマスクが手放せない生活環境になる中、暑さ次第で熱中症が急増する可能性があります。

 マスクは呼気で熱や湿気がこもりやすく、知らないうちに体温上昇や脱水症状を引き起こす恐れがあります。というのも、体内に熱がこもると汗をかいたり、呼吸をして体温調節を行いますが、しかしマスクをすると暖かい空気しか取り込めない為、体温を低下させにくくなります。また、マスク着用による加湿効果で、のどの乾きも感じにくくなりやすくなります。こういった理由でマスクをしていないときに比べて熱中症に気づくのが遅れリスクは高まります。

 高温多湿の屋外では、まわりに人がいない状況(2m離れている状況)ならば、息苦しくならないようにマスクをはずしてもかまいません。厚生労働省も熱中症予防として、屋外で人との距離が2メートル以上確保できる場合はマスクを外す、また着用する際は強い負荷の作業や運動を避け、こまめに水分を補給するようすすめています。

 ただし、環境によっては、マスクを外す際にマスクより手が汚染されている可能性があります。そのためマスクをはずすときや、水分補給のときなど、顔に触れることがある際は、手指衛生を行うことをおすすめします。手指衛生ができない場合は、口・鼻・目に触れないよう気を付けてください。

適切な運動もしましょう!!

コロナ渦は外出自粛によっていつもより運動不足になりがちです。そのため汗をかく機会が減っており、いざというときに効率よく汗をかくことができなくなり、熱中症へのリスクが高まります。対策としては、暑さに体を慣らす「暑熱順化(しょねつじゅんか)」が大切です。

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暑熱順化ってなに?

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 暑熱順化とは、体が熱に慣れ、暑さに慣れることです。暑熱順化できると、次のように汗のかき方や質が変わってきます。

汗の「かき方」が変わる

皮膚の血流量が増え、少々の暑さであれば、汗をかくまでもなく、熱を放出できるようになります。皮膚血流反応だけでは、間に合わないときは、早いタイミングで、多くの汗をかけるようになり、効率的に体熱を放出できるようになります。

汗の「質」が変わる

久しぶりに運動をすると汗がベタベタだったりしませんか?ベタベタの汗は、水分と一緒に体に必要な塩分(ナトリウム)までも体外に捨ててしまっている効率の良くない汗となります。

 しかし暑熱順化すると、汗をかきなれるようなることで、汗腺(汗を出す場所)の働きが良くなり、汗が体外へ出て行く前に塩分(ナトリウム)を体内へ再吸収できるようになり、汗に含まれる塩分(ナトリウム)が血液中に再吸収されます。こうした作用により熱中症、脱水になりにくくなります。

暑熱順化する方法(汗をかく練習)

入浴

 しっかりぬるい温度で(40度以下)お風呂につかって、ゆっくり体を芯から温め、汗をじっくり出すことは効果的です。また風呂上がりは急激に体温を下げるのではなく、うちわなど自然の風で汗を蒸発させて、ゆっくり気化熱で体温を下げるようにしましょう。

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ウォーキング

有酸素運動

 ウォーキングやジョギングなど、汗をかきながら行う有酸素運動はとても有効です。「やや暑い環境」で「ややキツいと感じる」運動を1日3 0分行うとよいでしょう。自転車にのる、早歩き(3分)ゆっくり歩き3分を繰り返すこともおすすめです。

 マスクを外すことも考え、混み合わない場所や時間帯を選んだ上でやや暑い環境で、少しきついと感じる強度で、毎日30分程度運動することも効果的です。ただし常に適切な水分補給を心がけましょう。

 暑熱順化するには約1週間かかるといわれています。ですので いきなりでなく計画的に順化、慣れていく必要があります。また実は、一度暑さに順化しても、やめてしばらくすると、その効果は元に戻ってしまいます。そういう時期になりやすい初夏の暑い日,新規入職者,梅雨明け,お盆明け等に注意が必要となります。そのため、一時期だけでなく、一年を通して、普段から汗をかく環境を作ることが大切です。

港南台内科クリニック