掲載日: 2020-05-14
だるい猫

生活不活発(動かなすぎ)に注意

 みなさん!ずっと家に閉じこもり、一日中テレビを見ていたり、ぼーっとしていたり、気づいたらお菓子などつまんでしまって間食したり、誰かと話すことも少ない・・・となっていませんか? コロナ渦において感染を恐れるあまり外出を控えすぎることで、生活不活発(動かないこと)が増えてしまい、それによる健康への悪影響も問題となってきています。

フレイル

 こうした日々が続くと、コロナ太り、そしてある年齢からは『フレイル』が進みやすくなってしまいます。

 新型コロナウイルス(COVID-19)の感染予防のため外出を控える人が増えたり、在宅勤務が増えているため、運動量が減っている方が増えています。そのため働き盛りの人はコロナ太りになり、また高齢者は特に「動かないこと(生活不活発)」のためにフレイルが進行してしまうのではないかと危惧されています。

 フレイルとは高齢者の身体機能や認知機能が低下して虚弱となった状態です。この状態、フレイルは要介護予備群として現在、注目されています。 すなわちこのフレイルの段階で、食事や運動などで適切な対応、介入を行えば、要介護となるのを防止でき、健康寿命を延ばせるということが最近分かってきているからです。

フレイル

フレイルの進行

イメージ図

新型コロナウイルス(COVID-19)の感染予防のため外出を控える人が増えたり、在宅勤務が増えているため、運動量が減っている方が増えています。そのため働き盛りの人はコロナ太りになり、また高齢者は特に「動かないこと(生活不活発)」のためにフレイルが進行してしまうのではないかと危惧されています

フレイルとは高齢者の身体機能や認知機能が低下して虚弱となった状態です。この状態、フレイルは要介護予備群として現在、注目されています。 すなわちこのフレイルの段階で、食事や運動などで適切な対応、介入を行えば、要介護となるのを防止でき、健康寿命を延ばせるということが最近分かってきているからです。

新型コロナウイルス感染症は、たしかに高齢者や糖尿病(ただし糖尿病に関しては重症化しやすいのは、血糖コントロールが不良な方であり、血糖コントロールが良好な方は糖尿病のない方と変わらないとわかってきています)などの基礎疾患がある方は重症化しやすいことが明らかになっています。

運動でフレイルを予防

 まずは、自分自身を守るために手洗いを中心とする感染予防が必要です。また、人が多く集まる場所(密である場所)を避けることなどが言われており、そのためおのずと家に閉じこもりがちになります。しかし、それが行き過ぎると高齢者にとっては合わせて生活不活発による健康への影響が危惧されます。

 生活不活発は、先ほど触れたフレイル(虚弱)を進行させることとなり、心身や脳の機能が低下していきます。ですので、動かない時間を減らし、自宅でもできるちょっとした運動でフレイルを予防しましょう。

自宅で体操

老年学会のアドバイス

 生活不活発になりフレイルになると、体の回復力や抵抗力が低下し、疲れやすさが改善しにくくなります。歩くことや身の回りのことなど生活動作が行いにくくなり、インフルエンザなどの感染症も結局、重症化しやすい傾向になります。

 ちなみに、2週間の寝たきりにより失う筋肉量は7年間に失われる量に匹敵するとも言われています。そうならないためにはフレイルを予防し、抵抗力を下げないように注意することが必要です。では今の段階で我々のできることはなんでしょう。次に挙げるのは日本老年学会からアドバイスです。

座る時間を減らして、そのかわり立ったり歩いたりする時間を増やすことも重要です。テレビのコマーシャル中に足踏みしてみるなど身体を動かしましょう。

関節も固くならないように気を付けてラジオ体操のような自宅でできる運動でも、筋肉の衰え予防に役立ちます。スクワットなど足腰の筋肉を強める運動も有効です。

日の当たるところで散歩くらいの運動を心掛けましょう  天気が良ければ、屋外など開放された場所で身体を動かしましょう。散歩はお勧めです。ただし、人混みは避けましょう。

多様性に富んだ食事を3食欠かさず食べることを意識する。しっかりバランス良く食べて栄養をとり、身体の調子を整えましょう。免疫力を維持することにも役立ちます。さらに身体(とくに筋肉)を作る大切な栄養素であるタンパク質をしっかりとることが大切です。 ※食事の制限を受けている人はかかりつけ医の指示に従ってください。

お口を清潔に保つことが、インフルエンザなどの感染症予防に有効です。毎食後、寝る前の歯磨きを徹底しましょう。義歯の清掃もとても大切です。

おしゃべりも大切です。一日3食、しっかり噛んで食べましょう。噛める人は意識して少し歯ごたえのある食材を選ぶことも大切です。自粛生活で人と話す機会が減り、お口の力が衰えることもあります。電話も活用し、意識して会話を増やしましょう。鼻歌を歌う、早口言葉もお勧めです。

【補足】非運動性熱産生

 日本老年学会が勧めるアドバイスで「座っている時間を減らす」。「筋肉維持」「散歩」などはNEATと言います。NEATとは(Non-Exercise Activities Thermogenesis)の頭文字で、日本語訳では「非運動性熱産生」、もうすこし言い方を変えると「運動ではない日常生活活動による消費エネルギー」を意味します。例えば通勤や通学、階段昇降、掃除洗濯など日常生活場面そのもので消費するエネルギーのことを指しています。

 アメリカの研究では、座っている時間が1日3時間未満の方では、1日6時間以上の方と比べて、女性で約27%、男性で約15%死亡率が低かったという研究結果もあります。また日本の研究でも歩行時間が1時間以上の方は30分未満の方に比べて、38%も脳卒中や心筋梗塞で亡くなる危険性が少ないという報告があります。 そんなNEAT、多いほうがいいわけですので増やす工夫をしてみましょう。

 例えば、「姿勢を延ばす」「朝、新聞・郵便物取り、リモコン取りなど、何でも自分から動く」「家のそうじや車のそうじをする」「立ってテレビを見る」「ペットと散歩する」「歩行時大股を意識する」「なるべくエレベーターは使わず階段を使う」などなどです。

港南台内科クリニック